ニューズウィーク誌(米国版)の記者より、弊社社長藤澤信義が『アベノミクスによる金融業界への影響について』 インタビューを受けました

2016年2月2日
Jトラスト株式会社

						
掲載元:
ニューズウィーク誌(米国版)の記者によるインタビュー記事 (英語) http://www.theworldfolio.com/interviews/fast-decisions-key-to-venture-capital-gains-/3880/ 会社概要 (英語) http://www.theworldfolio.com/company/j-trust/1352/  
「迅速な決断」、これが好機をつかむカギ
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Jトラストグループ代表取締役社長  藤澤信義氏

Jトラストグループ代表取締役社長の藤澤信義氏は、「日本への投資誘致およびアジア地域での事業展開において重要なのは、迅速な経営判断およびリスクを負う姿勢」 と話す。  
アベノミクスが日本金融業界および御社に与えた影響は?
まず、急激な株価上昇と急激な円安です。安倍首相の就任後1年~2年の間に、株価は2倍、為替は1.5倍の円安ドル高、つまり円の価値は3分の2に減り日本経済に大きな影響を与えました。 アベノミクス開始後、J トラストの株は急上昇しました。通常、1千億円のエクイティファイナンスは弊社の規模では得られないのですが実現できたことは、アベノミクスに感謝です。その資金により我々はグローバル展開を実現しています。  
御社はアジア太平洋地域で事業展開しています。 TPPの影響およびビジネスチャンスはどの様にお考えですか?
我々は金融セクターであり、製品を輸入しません。よって、TPPの影響は限られると思います。しかしながら、アジアの事業拡大計画において、インドネシアを始めとする東南アジア諸国で日本製品への融資(農機具、太陽光パネル、家電など)を検討しています。ですから、良い影響はあるのではないかと思います。 TPPのもう一つの側面、投資の自由化は我々にとって有利と考えています。弊社は新しい投資機会を、地域に関わらず常に探しています。現在は国ごとの規制がありますが、TPPの締結後は自由に投資機会を得られると思います。  
御社は1977年に創業されましたが、2008年に藤澤さんが筆頭株主になって以降、積極的なM&A戦略により、営業収益が32億円から632億円へ増加など、著しい成長を遂げています。どのようにしてこの成長が可能となったのでしょうか?
一言で説明するのは難しいのですが、我々は伝統のある企業とは違い、ベンチャー企業のようなものです。つまりオーナー企業で意思決定が速い。失敗した場合はオーナーが責任を取る。責任を負うことで、会社は迅速な決断でリスクを取ることが可能になるのです。意思決定の速さとリスクテイクが我々の成長の理由です。数字だけ見ると成功ばかりに見えますが、失敗した数の方が多いです。例えば2つの成功に対して、8つの失敗をしています。  
御社は今後どのように新たな事業に投資をするご予定でしょうか?そして今後どのような姿を目指していらっしゃるのでしょうか?
まず一つ目は、我々は韓国、インドネシアで銀行業を営んでおり、それ以外の国でも銀行業を広げるかもしれないですが、その銀行を成長させて行くこと。二つ目は、日本もそうですが、世界的に見ても銀行業は非常に閉鎖的で規制が厳しい業界です。その中で銀行業だけ行っていると、閉鎖的になってしまうので、銀行だけでなくそれ以外の金融業の周辺事業、例えば不動産事業や、割賦事業、クレジットカード事業、リース業、投資事業などへも事業を拡大しております。銀行を成長させながら、それ以外の事業でも銀行を支え、またフレキシブルに周辺事業を展開する考えです。  
アベノミクスの中心にある要素の一つが企業のガバナンスの改革です。今日本ではROE改革という言葉が叫ばれていますけれども、御社でも3年以内に10%のROEを実現するということを約束なさっています。現在のROE革命についてどのようにお考えでしょうか?そしてこのガバナンスというのは御社の今後の成長にどのような重要な意味を持つのでしょうか?御社は今のこの新しい動きにどのように適応さらに貢献なさっているのでしょうか?
この件については少し他の人とは意見が違うかもしれません。コーポレートガバナンスは重要なことです。経営の透明性はさらに重要だと思います。しかし、これとROE経営とはいろいろな点においてまったく違うものだと思っています。 コーポレートガバナンスについては、例えば10年前や20年前でも経営の透明性を維持する上で重要であり、今後もまた必要だと思います。ただROE重視の経営についてはただの流行りものだと思っています。 私が申し上げたいことは、ROEというのは業種によってかなり違うということです。例えば、銀行業ではファイナンシャルレバレッジが相当かかっているので、自己資本比率は、例えば韓国で8%台になっています。つまりROEが上がって当たり前という世界です。一方で経営の安定度から言うと、自己資本比率を高めることも一つの安定になりますが、自己資本比率が高いということはROEが下がるということですから、このバランスが非常に重要だと思っています ROEばかり追いかけて経営していると、再びリーマンショックのような金融危機に直面すれば、会社は倒産してしまうかもしれません。一方で自己資本比率が高い無借金経営の場合、例えば収益率5%、ROE5%だとすると株主様は苦言を呈しますので、この中でどうやってうまく経営していくかが大事かなと思います。  
 御社は、日本における信頼すべきパートナーでありさらにリスクを負いながら決断力も早い企業であるということを、どのような形でブランド発信なさっていますか?
既に行っている、もしくは行おうとしている取り組みについてですが、我々は金融事業を営んでいますので、海外からの投資、特に不動産投資に関する支援を行っています。海外の投資家が日本の不動産を買う時に、日本の銀行は単独で融資をしません。ですので、我々が信用保証を付けることで、海外の投資家が銀行のローンを借りられて不動産を購入できるなど、今はそういうところから始めています。 さらに、例えばシンガポールの銀行がシンガポール人に対して日本の不動産を買うための融資に我々が信用保証するような取り組みも考えられます。これはインドネシアでも同じことが出来ると思います。海外の方がその国の銀行からローンを借りるときに弊社が信用保証を提供したり、先ほど申し上げた、海外の人が日本の銀行から融資を受ける際のお手伝いをしたり出来ると考えています。 アベノミクスの中核にあるのが日本を国際化させるということだと思いますが、そういう意味で弊社は1つの事例になると考えています。  
日本の成功に加え、インドネシア、韓国などへ事業展開を拡大し、また、ご自身はほとんどの時間をシンガポールで過ごされ、事業にあたっているとのことですが、今後、Jトラストのように海外展開を目指している日本の企業の経営者にアドバイスをいただきたいと思っております。海外展開の成功の秘訣は何でしょうか?
海外で成功したかどうかという評価を得るにはあと2、3年はかかると思っていますが、個人的には、まず来年までにJトラストを今の倍の規模にしたいと思っています。 私はシンガポールに住んでいますが、なぜシンガポールに住んでいるのかといいますと、別に税金が安いだけの理由ではなく、今後の海外事業展開を広げるための情報収集が出来たり、世界の金融業の中心であるためのインフラが整っていると思うからです。1番大事なのは、経営トップ自らが海外に出て意思決定をしてくることだと考えます。私はシンガポールを中心にミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナム、ラオス、フィリピン、インドネシア、マレーシアなどの周辺諸国をまわり、大抵はオーナー企業の経営者や財閥系の経営者にお会いすると「日本人だとしたら意思決定に3か月はかかるよね」とよく言われます。日本人はまず日本に戻って同僚に相談してきますと言うそうです。相談した結果がダメでしたと言うのにさえ3か月もかかると言われました。非常に経営のスピードが遅いと思います。 ですから私は自ら各国に出向き経営者と直接会い、その場で意思決定してきます。このため少しずつ信頼を得られてきました。そういう意味では日本企業が海外で成功するためには2つのやり方があると思います。1つ目は、例えばトヨタとか、富士フィルムなどの大企業が圧倒的な品質の良さで海外に輸出していくというのが一つの方法。しかし、我々のようなベンチャー企業が海外で成功するためには、やはり大企業と違って意思決定の速さとか、意思決定権者がその場にいるのが非常に大事だと思います。  
20年間のデフレを脱却した今、日本の新しいブランドはこういうものだということを、国際社会に対しどのように発信するかについてコメントいただけますでしょうか?
現地に住んでいるとシンガポールは先進国だと思いますが、シンガポールでも、また、さらには発展途上国であるインドネシアと比較しても、日本の商品、日本のおもてなしは素晴らしいと思います。 日本の大企業や商社はすでに、アジア地域に進出していますが、日本のもので、「こういうのがアジアにもあるといいな」と思うものがまだまだ沢山あります。誰であろうが海外にいち早くアイディアを持ち込めば、その市場を独占することが可能です。競争に打ち勝つためにも迅速さが重要です。なるべく早く経営者自らが現地に行って、陣頭指揮を執って事業をやりきることが大事かなと思います。 海外に住むようになって、日本は素晴らしい国だと再確認しています。

以上

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